ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業)(以下、「ベーカーマッケンジー」)は、国内最大規模の洋上風力発電プロジェクト「北九州響灘洋上ウインドファーム」(以下、「本プロジェクト」)に対するプロジェクトファイナンスの組成において、風車供給契約、サービス契約及び風車基礎、陸上設備等のEPCI契約の交渉に法的アドバイスを提供しました。プロジェクトファイナンスは主幹事行である株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社日本政策投資銀行により組成され、これら金融機関のほか34の金融機関が、シンジケーションローンに参加しています。本プロジェクトは、福岡県北九州港響灘地区に25基の着床式洋上風力発電設備を設置し、運転開始後20年に亘りゼロエミッション電力を供給するものです。本事業で採用される風車の単機出力は9.6MW、ウインドファーム全体の発電設備容量は220MWであり、いずれもこれまでの日本の洋上風力発電プロジェクトとしては最大規模となります。

洋上風力発電は、2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画の中でも、「再生可能エネルギー主力電源化の切り札」と位置付けられており、日本の脱炭素化実現に向けて重要な役割を果たすことが期待されています。本プロジェクトは、ゼロカーボンシティを目指す北九州市による公募事業であり、風力発電関連産業の総合拠点を形成する同市の「グリーンエネルギーポートひびき」事業の推進において重要なマイルストーンとなるものです。

ひびきウインドエナジー株式会社は、2017年に北九州市による公募において選定された本プロジェクトの実施主体です。株主である、九電みらいエナジー株式会社、電源開発株式会社、北拓株式会社、西部ガス株式会社、株式会社九電工はいずれも北九州市でのビジネス展開や事業拠点を有しており、地域に寄り添い、共創・共栄を重視した事業開発を行ってきました。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けた風況観測や海底地質調査、漁業との共生に配慮した風車・海底ケーブル配置、環境・社会影響評価、日本海事協会によるウィンドファーム認証取得等の詳細検討を経て、現在は2025年度の営業運転開始に向けて本プロジェクトの建設工事を進めています。

ベーカーマッケンジーでは、東京事務所の再生可能エネルギーグループ共同代表である江口直明弁護士とパートナーの小林努弁護士が本案件を率い、チームメンバーのPierre Chiasson石川直樹磯部まな及び冷水亮太がサポートしました。