(本リリースは2017年8月2日、グローバルで発表したプレスリリースの抄訳です)

  • フィー収入は前年度比5%増、世界全地域で増収
  • 市場をリードするイノベーション・プラットフォームを立ち上げ
  • 140名の新パートナーを選出

【グローバル発 2017年8月10日】ベーカーマッケンジーは、2017年度(2016年7月1日から2017年6月30日まで)の年次決算において、米ドルベースでの全世界のフィー収入が26億7,000万ドルと発表しました。為替変動の影響を除いた実質ベースでの対前年度増収率は5%となりました。米ドルベースでは2.1%の増収であり、同期間における他通貨に対する米ドル高傾向の影響が顕著に現れたかたちとなりました。

ベーカーマッケンジーは多様性を誇る世界有数の国際法律事務所であり、フィー収入全体に占める地域別の割合は、アジア・太平洋地域が26%、欧州・中東・アフリカ地域が37%、北米・ラテンアメリカ地域が37%となっています。2017年度は、これら全ての地域において、4%以上の増収となりました。

パートナー1人あたりの利益(PPP)は実質ベースで1.2%増、米ドルベースで0.2%増となりました。2007年以来、PPPは20%以上増加しています。

ベーカーマッケンジーのエグゼクティブ・コミッティのチェアマンであるポール・ローリンソン(Paul Rawlinson)は、「地理的・政治的に不透明な状況が続く中、当ファームは2017年度も過去最高の収益を達成するとともに、全ての地域で増収を果たしました。5%の増収、1%の増益は厳しい市場環境下にあって非常に健闘した結果と言えると思います。これにより当ファームは、大規模な合併に因ることなく、過去10年間で50%の増収を達成したことになります。このような成長を遂げているグローバルファームはごく僅かだと思います」と述べています。

さらにローリンソンは、「2017年度は売上以外の面でも様々な進展がありました。過去最高の需要を記録し、また外部事務所からのパートナーの採用が奏功、そして市場をリードするイノベーション・イニシアティブを成功裡に立ち上げ、さらにはニューヨーク、ロンドン、中国への長期的・戦略的投資の効果が顕れてきたことなどが挙げられます。ベーカーマッケンジーに対する市場の見方も、単に世界No. 1のリーガルブランドというだけではなく、明確なビジョンと目的、そして独自の文化を持った真に革新的で統合された組織、という認識へと変化してきています」と述べています。

イノベーション

2017年度、ベーカーマッケンジーはイノベーションへの新しい取り組みを正式に開始しました。当ファームは、世界経済フォーラム(WEF)が主導する第4次産業革命に関するプロジェクト(人々や社会にプラスの影響をもたらすべく、マイナスの影響を最小限に抑えながら技術やサイエンスの展開を促すことを目的とする)において同フォーラムと提携する唯一の法律事務所です。

さらに、当ファームの専門家とクライアント企業とのコラボレーションの促進拠点として「Whitespace Collab」をカナダのトロントに開設した他、5月には、法律事務所として初めて世界規模でのリーガルサポートに最先端のAI技術を導入しました。

こうした取り組みは既に、クライアントや所員の利益となるのみならず、当ファームの業績に直接的なインパクトを与え始めています。試算によれば、ベルファストのグローバルサービスセンターやeディスカバリープラットフォームの活用、法務プロジェクトマネジメントの採用などの施策は、現段階で既に年間2,000万ドル以上の収益をもたらしています。

成長分野

2017年度の成長分野としては、税務、紛争解決、銀行・金融、M&A、キャピタル・マーケットなどが挙げられます。

また、産業別では、テクノロジー・メディア・電気通信グループ(以下、「TMT」)が最も高い成長率を示しました。各産業に特化したサービスを強化するために、ベーカーマッケンジーは2017年度、エネルギー、鉱業・インフラストラクチャ、金融サービス、ヘルスケア、TMTに次いで5番目及び6番目の産業グループとなる消費生活資材・小売グループと工業・製造・運輸グループを新たに立ち上げました。

産業に特化したサービスの強化は、クライアントや各産業界とのより緊密な関係を築くと同時に各産業における最新の動向を把握することで、クライアントのニーズをいち早く捉えていくというファーム戦略の一環です。

主要な実績

ベーカーマッケンジーは、世界的に極めて重要な取引・案件においてアドバイスを提供しています。

  • 世界銀行グループの一機関である国際金融公社(IFC)との共同による森林債の開発に関して、BHPビリトン社(BHP Billiton)に支援を提供。当該債券は東部ケニアにおける森林保護活動及び地域開発活動を通じて温室効果ガスの排出削減を目指すものである。
  • 欧州司法裁判所における裁判においてダイソン社(Dyson)を代理し、勝訴。当該裁判所は、掃除機のエネルギー性能を測定するためには、技術的に可能な限り、実際の使用形態での試験を行わなければならないと裁定した。
  • 中国におけるレストラン事業のスピンオフに伴う97億米ドル規模のグローバル再編の実施に関して、ヤム・ブランズ社にアドバイスを提供。
  • 最先端の遺伝子診断技術を持つアンブリー・ジェネティクス社(Ambry Genetics Corporation)を最大約10億ドルで買収する案件に関して、デジタル技術企業のコニカミノルタにアドバイスを提供。本件では各国の専門家が連携して案件を遂行した。
  • ナイキを代理して、米国税庁(IRS)の完全な譲歩を引き出し、外国税額控除の扱いをめぐる論争を終結に導いた。本件は、当ファームの税務専門家が担当。
  • ブエノスアイレスにおける火力発電プロジェクトへの5億ドルの出資の一環としてのストーンウェイキャピタル社(Stoneway Capital Corporation)に対する数百万ドルの融資に関して、シーメンスにアドバイスを提供。当該プロジェクトでは、アルゼンチンで25年ぶりとなるプロジェクトボンドによる資金調達が行われた。
  • ネットワークパワー事業をカーブアウト及び40億ドルでプラティナム・エクイティに売却した案件に関して、エマソン・エレクトリック社(Emerson Electric)にアドバイスを提供。当該カーブアウトは60か国以上の国に及び、コーポレート、税務、不動産、IT、雇用、年金、現金の本国送還など法律上の様々な課題を包含する複雑な案件であった。

ブランド力と評価

ベーカーマッケンジーの革新性と法律業界におけるリーダーシップは、2017年度も各種メディアや評価機関により高く評価されました。

  • クロスボーダー案件の取り扱い数に関し、8年連続で世界1位を獲得(トムソン・ロイター社調べ)。ベーカーマッケンジーが扱う案件の65%以上がクロスボーダー案件。
  • 新興市場に関わる案件の取扱い件数(公表案件数及び完了案件数)に関して、12年連続で首位を獲得。
  • Acritas社が実施する国際法律事務所のブランドランキングで7年連続首位に選出。
  • Working Mother誌、Law360、及びEuromoneyにより、女性にとって最も働きやすい法律事務所の1つとして選出。
  • Chambers Globalのグローバルガイド2017年版において、他の法律事務所を上回る多くの項目で高く評価される。

所員構成等

  • 2017年度は、元上級官僚やトップファームの優秀な弁護士、経験豊かな大手多国籍企業の社内弁護士など、59名のパートナー弁護士を採用。例年通り取引分野の専門性の強化に重点を置き、特に重要拠点として位置付けるロンドン、ニューヨーク、中国における新規採用数が全世界における採用数の4分の1を占めた。
  • 2017年6月に所内昇格による80名の新パートナーの選出を発表。これにより、2017年7月1日付で、パートナー数は全世界で約1,600名となった。昇格した新パートナーのうち女性の割合は40%となった。
  • 2017年度における常勤の各国資格弁護士数は6,076名。
  • 女性が占める割合は全弁護士の42%、全パートナーの26%。
  • 2017年6月30日付の常勤所員数は12,346名、全所員数は13,413名。
  • 支払請求可能時間は前年度比3%増の840万時間。

今後の展望

今後の展望について、ローリンソンは、「ベーカーマッケンジーは60年以上にわたりクライアントに助言や支援を提供してきました。クライアントのビジネスは世界のあらゆる場所で展開されており、マクロ経済環境のボラティリティが極めて高い状況もあります。このように難しい環境の下で成長を続けてきた実績を鑑みれば、新年度も、厳しい市場環境が予想されるものの、所員にとって、またベーカーマッケンジーにとって、さらなる発展の年になるものと期待しています」とコメントしています。

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