• クロスボーダーの買収・統合プロセスで買収側企業として採用するアプローチにおいて、日本企業と欧米企業の明確な差異が浮き彫りに
  • クロスボーダーの買収・統合プロセスにおいて、買収側・被買収側双方の見方の違いを比較
  • ビジネス・トランスフォーメーションを成功に導くため、買収側企業が重点的に取り組むべき4つの分野を提示
  • 日本企業に買収された100社、米国・欧州企業に買収された各50社の計200社が回答
グローバルチャレンジ表紙

【東京発 2016年10月14日】ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業)(所在地:東京都港区、代表パートナー:ジェレミー・ピッツ)は、このたび、調査レポート「グローバル化への挑戦 第二弾:日本企業の課題とその買収対象企業へのインパクト―実践的考察」を発表しました。(本調査レポート全文はこちらをご参照ください)

グローバル・トランスフォーメーションの実現における日本企業と欧米企業のアプローチの仕方の違いに焦点を当てる「グローバル化への挑戦」シリーズ(前回の調査レポートはこちら)の最新版となる本調査レポートでは、引き続きマージャーマーケット(Mergermarket)との共同で、日本企業と欧米企業に買収された側の企業を対象にアンケート調査を実施しました(一部の企業については個別インタビューも実施)。海外企業の買収・統合プロセスの各段階において、グローバル・トランスフォーメーションを成功に導くための重要な要素(成功の鍵)についての考察を行いました。

今回の調査では、買収側企業が採用するアプローチにおいて、日本企業と欧米企業では、次の4つの分野で、案件への取り組み方や優先順位の付け方に差異があることが明らかとなりました。

海外企業の買収・統合において、企業が重点的に取り組むべき4つの分野

① 異なる企業文化の融合

クロスボーダーM&Aを通じた戦略的な組織改革において、企業トップが直面する最初の課題の一つに企業文化の相違が挙げられます。今回の調査では、企業文化の異なる2社の融合が最も困難な課題の一つとして認識されていることが明らかとなり、多くの企業が、企業文化の変化は容易には受け入れ難いと回答しました。しかしその一方で、企業文化の問題は適切に処理されればM&Aにおける致命的な失敗の要因にはならないことも示唆されました。

② 優秀な人材の選定と維持

典型的な人材維持のための最も有効な対策は、優秀な従業員を案件の早期の段階で選別し、評価に見合う適切な報酬パッケージを提示し、引き続きとどまらせるというものです。回答企業の多くが示した人材維持のための対策を見てみると、これらの優秀な従業員はそれ以降のプロセスにおいても重要な役割を果たしています。

③ 事業の統合における課題

日本企業・欧米企業の双方が、財務・税務部門や経営機能、ITやシステム、研究開発部門の統合を、事業の統合プロセスにおける最大の課題として挙げています。

④ ITシステムの統合プロセス

今回の調査では、多くの企業が、ITおよびシステムの統合を優先的に実施することで、企業統合の他の側面にもプラスの効果が期待できると回答しています。ITシステムの統合は、異なる部門間、各部門におけるメンバー同士、経営陣における円滑なコミュニケーションを促進し、協業に向けたモチベーションの向上にも寄与し得ることから、企業統合をよりスムーズに進めるための鍵となり得ます。

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<調査方法>

マージャーマーケットは、2016年第1四半期、日本、米国、欧州企業が買収側となったM&A案件における対象企業200社に対し、アンケート調査を実施しました。回答企業のうち、約半数が日本企業に買収された企業であり、米国企業と欧州企業に買収された企業はそれぞれ約25%ずつでした。

回答企業のうち、日本企業に買収された企業の国籍は、以下の通りです。
北米(32%)、東南アジア(21%)、欧州(20%)、南アジア(14%)、オーストラレーシア(4%)、南米(3%)、東アジア(3%)、残りはその他の国や地域。

また、米国または欧州企業に買収された企業の国籍は、以下の通りです。
欧州(59%)、北米(14%)、オーストラレーシア(9%)、南アジア(5%)、中東(4%)、東南アジア(3%)、南米(3%)、東アジア(1%)、残りはその他の国や地域。

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