国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)は、2023年6月26日、基準書IFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」及びIFRS S2号「気候関連開示」を公表した。また、2023年5月4日には、2024年に開始する2年間にISSBが新しく取り組むアジェンダ(本稿では、このISSBが新しく取り組むアジェンダを「新たなプロジェクト」と呼ぶ)につき「アジェンダの優先度に関する協議」としてコメントを募集する情報要請(「Request for Information(情報要請)」)を開始した(なお、情報要請に対するコメントの期間は、2023年9月1日に終了した)。情報要請においてISSBの作業計画(Work Plan)の候補とされた優先度の高い新しいプロジェクトには、4つのトピックがあるが、本稿は、そのうちの「生物多様性、生態系及び生態系サービス」(「生物多様性等」)に関する情報開示の基準設定にかかるプロジェクトについて概説し、仮にISSBが生物多様性等を新たな開示基準として選択する場合の日本企業において必要となる今後の対応について検討する。