2022年12月14日に公表された企業のサステナビリティ報告(CSRD)に関する指令(EU)2022/2464が2023年1月5日に発効した。CSRDは、一定規模の企業を対象として、サステナビリティ事項に関する報告書の作成を求める。CSRDにおける「サステナビリティ事項」とは、環境、社会、人権、ガバナンスの要素を意味し、規則(EU)2019/2088で定義された持続可能性要素(すなわち、環境、社会、従業員に関する事項、人権の尊重、腐敗防止、贈収賄防止に関する事項)も含まれる。一部の企業は早ければ2025年にもCSDRが求める基準のサステナビリティ報告書(2024年度対象)を提供する義務が生じることとなるため、本稿では、CSRD発効によりサステナビリティ報告書の提出義務を負う企業の要件を確認し、CSRDの要求事項の概要を説明するとともに、CSRDが日本企業(欧州子会社レベル及び日本の親会社を含むグループレベル)に、どのような影響を及ぼすかを考察する。