気候変動開示に向けた検討と論点
10月31日に、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が開幕しました。
日本では2021年6月11日、東京証券取引所は、コーポレートガバナンス・コードを改訂しました。その改訂ポイントの1つとして、サステナビリティに関する規定が盛り込まれ、プライム市場の上場会社に対し、気候変動に係るリスク及び収益機会が事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行うこと、そして、それにあたり「国際的に確立された開示の枠組みであるTCFD(気候関連財務情報タスクフォース)提言またはそれと同等の国際的枠組みに基づく開示の質と充実を求めるべき」であるとされました。近年グローバル規模で「サステナビリティ」への意識が高まり、なかでも、気候変動の問題が深刻さを増してきたことを反映するものです。
こうしたなか、2021年6月25日に、金融担当大臣から金融審議会(ディスクロジャーワーキング・グループ)(本DWG)に対し、「企業を取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、投資家の投資判断に必要な情報を適時に分かりやすく提供する開示」の在り方が諮問され、検討が開始されています。本DWGでは、企業経営における昨今の「サステナビリティ」の重要性に鑑み、サステナビリティに関する企業情報の具体的な開示基準の検討が進められています。現時点では、気候関連情報に焦点をあて、①気候関連情報の開示内容「重要性(マテリアリティ)基準の考え方」、②開示内容の充実と比較可能性、③開示媒体等の論点を中心に議論が行われています。