2018年8月に、2017年会社法(MCL: Myanmar Company Law)が発効するのを控え、投資企業管理局(DICA: Directorate of Investment and Companies Administration)は、新しいMyCO登録システムにおいて利用される各種申請書式のサンプルを発行した。

サンプル書式はこちらのDICAのウェブサイトでご覧いただける。

このうち、もっともよく利用されると思われるのが、Form A-1の、非公開の有限責任株式会社の設立申請書式であろう。

この書式には、MCLにおいて用いられているのと同じ「外国会社」に関する定義が記載されているのは注目に値する。すなわち、外国の法人または外国人(ないしはその双方を合わせて)が直接または間接に、持分の35%超を保有しまたは支配している場合には、その会社は「外国会社」とされる。

また、この書式には、申請者とは、会社の登録を申請しようとする個人または法人をいうのであって、当該会社の株主または取締役である必要はない旨も明記されており、この点について従来不明確であった点が是正された。

MCLに規定するところに従い、書式にも取締役のうち最低1名はミャンマーの通常居住者である必要があることが記されている。MCLの規定によれば、ミャンマーの通常居住者と認められるためには、原則として、ミャンマー国内に年間最低183日滞在していることが必要となる。

書式の他の部分も非常に明確である。一点、DICAの担当者と議論となる可能性があるのは、会社がモデル定款ではない、独自の定款を作ろうとする場合であろう。Form A-1、MCLのいずれも、モデル定款以外の定款を使用することを認めているが、過去の経験からすると、DICAの担当者はこれを積極的に認めようとしない可能性がある。この点の変更が広く認められるようになるには今しばらく時間を要すると思われる。

もう一つ、頻繁に利用される可能性があるのがForm A-8の外国法人の登録申請書式である。

この書式においても、申請者は当該法人の株主または取締役である必要はないことが明記されている。重要と思われるのは、登録された外国法人の権限ある役員は、ミャンマーに通常居住している必要があり、かつ、当該外国法人により、書類の送達を受ける権限を含む、MCLの目的に従い代表者として行為することのできる権限を有する者として選任されていることが必要とされていることである。この点で、この書式もMCLの定義に従っている。

今回公表された各書式はいずれも明確でわかりやすく、MyCO登録システム自体も同様に使いやすいものであることが期待される。何らかの進展があった場合にはまたアップデートを行いたい。

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※MyCOとは、Myanmar Companies Onlineの略であり、電子的な会社登録システムである。 DICAは、ウェブページ等においてこのシステムをMyCOと称している。