欧州連合は、2026年4月21日、汚職防止に関する新指令(COM(2023) 234)を採択した(「本指令」)。これは、欧州連合における汚職対策を強化し、加盟国間の法制度の調和を図るための重要な法的枠組みである。本指令は、2023年5月3日に欧州委員会によって最初に提案されたものであり、2022年の欧州連合機関を巡る一連の汚職スキャンダルを背景としている。本指令は、汚職関連犯罪に関する欧州連合全体の統一的な枠組みを構築し、加盟国間で分断されていた現行の法制度を調和させるものであり、欧州連合域内での一貫的かつ効果的な執行を妨げてきた要因を是正することを目的としている。

本指令は、EU官報に掲載された2026年5月11日から20日後に施行される。加盟国は原則として、本指令の規定をその施行の24か月以内に国内法に転換することが求められる。よって、遅くとも2028年夏までには、加盟国各国において、新たな汚職防止に関する規制が施行されることとなる。ただし、国家レベルの汚職防止戦略や汚職リスク評価に関する一定の義務については、最長36か月までのより長い転換期間が認められている。本指令が国内法化された後は、欧州連合域内で事業を行う企業にとって、執行およびコンプライアンスの環境が大きく変化することが見込まれる。特に、本指令は汚職関連の刑事犯罪の内容を明確化し拡張するだけでなく、より厳格な制裁を導入するとともに、予防的なコンプライアンス体制に対する要請を一層強化するものである点に特徴がある。

本稿では、日本企業が留意すべき重要なポイントに絞って解説する。

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