トランプ政権最初の100日間における米国関税措置
「America First Trade Policy」(「アメリカ・ファースト」通商政策)のもと、2025年1月20日以降、米国は多くの輸入品に対して関税措置を講じてきた。新政権発足から100日が経過し、関税リスクを管理し軽減しようとする企業にとって、以下の事項が重要である。
第一に、正確な輸入申告を徹底する必要がある。2025年2月以降、関税率は複数回変更され、「輸送中の貨物(in-transit)に関する例外」(追加関税について、それが発令された時点で輸送中の貨物には、適用しないという例外)や、関税が重複して課されるか否かのルール、あるいは関税の対象となる申告価格のガイダンスを含む、国別のルールが適用されている。
第二に、業界ごとの調査が進行中であり、長期的な関税措置が課される可能性がある。「セクション232」(232条関税)に基づき、米国は特定の輸入品が国家安全保障に与える影響を調査している。これまでに8件の調査が開始されており、対象業界には、銅及びその派生製品、木材・製材、民間航空機、レアアース及び重要鉱物、医薬品、半導体、トラックなどが含まれている。当該調査では、関税措置の適用範囲や適用される場合の救済措置に関して慎重な議論が行われる見込みである。アルミニウムや鉄鋼を対象とする232条関税の例からも分かるように、関税措置が導入された後でもその適用範囲が変更される可能性があり、継続的なモニタリングが不可欠である。
第三に、輸入者として関税軽減戦略を活用し、関税による負担を正確かつ適切に軽減する選択肢を持つことが有用である。関税コンプライアンスチームを組成し、各種関税軽減戦略を十分に検討し、活用しているかを確認することが重要である。各種関税軽減戦略については、次号以降に改めて紹介予定である。