2024年6月7日、事業性融資の推進等に関する法律が成立し、同年6月14日に公布された。本法は、一部の規定を除き、公布日から起算して2年6か月を超えない範囲において政令で定める日から施行される。

本法により、将来の財産を含む会社の総財産を一体として目的とすることができる企業価値担保権の制度が創設された。この新制度は、個別資産の価値に還元されない(ノウハウ、顧客基盤等の無形資産や将来キャッシュフローを含む)事業の価値の把握を可能にした点で、既存の担保制度 とは一線を画する。

その目的は、不動産担保・経営者保証に過度に依存した伝統的融資慣行から脱却することにより、有形資産に乏しいスタートアップや、大胆な事業展開を希求する事業者等による資金調達を円滑化し、かつ、金融機関による債務者の事業実態・将来性の適時・的確なモニタリング・経営支援を促進することにある。

本法は従来の融資実務・事業再生実務等に多大な影響を及ぼすことが予想されることから、本稿ではその概要を解説する。

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