当事務所のクライアント・アラートにおいて、2024年3月に米国司法省(United States Department of Justice)(以下、「DOJ」)が、企業犯罪をDOJに通報した者に報奨金を与えるパイロットプログラムの導入計画を発表したことを紹介したが、2024年8月1日付で、DOJの刑事局は「Corporate Whistleblower Awards Pilot Program」(公益通報報奨金パイロットプログラム)(以下、「本パイロットプログラム」)の運用を開始した。

本パイロットプログラムは、米国連邦政府の執行機関が運用する既存の公益通報者に対する報奨金付与制度の適用範囲が限定されていたことから、その隙間を埋めて企業犯罪の摘発を強化することを目的として導入されたものである。本パイロットプログラムは2024年8月1日から3年間の試験的なプログラムとして実施される。DOJは、3年間の試験期間中に本パイロットプログラムの定期的な評価を行って、試験期間終了時に本パイロットプログラムの期間延長の是非と修正の要否を判断する。

以下、DOJが公表したガイダンスをもとに本パイロットプログラムの要点を取り上げるとともに、日本企業としての留意点についても触れたい。