米国でForeign Extortion Prevention Actが 制定
2023年12月14日、米国連邦議会で、2024会計年度国防権限法(National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2024(NDAA))の一部としてForeign Extortion Prevention Act(FEPA)が成立し、2023年12月22日、バイデン大統領の署名により発効された。
FEPAは、外国公務員等に対する賄賂の申し出や提供を行う企業等を取締る海外腐敗行為防止法(Foreign Corrupt Practices Act(FCPA))とは異なり、当該賄賂を要求したり受領した外国公務員等を取締るものである。米国では、外国公務員等の賄賂の要求等の行為については、これまでマネーロンダリングや詐欺に関する法律、旅行法等を用いて取締りが行われていたところ、FEPAの制定によりこれらの行為を直接犯罪の対象として処罰することが可能となった。国連腐敗防止条約(United Nations Convention Against Corruption)第16条2項は、締約国に対し、外国公務員等が賄賂を要求し又は受領する行為を犯罪とするための必要な立法等の措置をとることを考慮することを求めているところ、米国のFEPAの制定は、このような国際的な腐敗防止に向けた取組に沿うものであると言える。
FEPAは、外国公務員等を取締るものであるため、FEPAの制定により日本企業に新たな規制等が生じるというものではないものの、FEPAの制定は、米国の賄賂撲滅に向けた強い姿勢を示している。米国におけるこのような動向を把握しておくことは、米国において事業を行う日本企業にとっても重要であると思われるため、以下FEPAの概要を紹介する。