Corporate & Tax Global Update Vol. 50(2020年9月号)
アフターコロナを見据えて加速するデジタルトランスフォーメーションにおいて必要な移転価格対応、会社法改正により来年3月より導入される予定の株式交付制度について会社法施行規則及び会社計算規則の改正案をふまえた解説等の最新情報をお届けします。
主要記事
グローバル/日本
- グローバル/日本:アフターコロナを見据えて加速するデジタルトランスフォーメーションにおいて必要な移転価格対応 DXに関連した将来の税務リスクを未然に回避するためには、(i)無形資産が構築される前に開発費の負担関係と移転価格上の取扱いについてこれまで以上に十分な検討を行うこと、(ii)事業主導で新たな開発やマーケティング体制がグローバルに再構築される前にその移転価格上の影響を考慮すること、(iii)販売商流再編に当たっては独立企業間原則に基づき事業再編取引に該当するかの検討を行っていくこと等が不可欠である。
- 日本:会社法改正:株式交付制度の概要及び手続(会社法施行規則及び会社計算規則の改正案をふまえて) 自社株式を買収対価とするM&Aに活用が期待される株式交付制度を導入する改正会社法が2021年3月1日から施行される予定である。2020年9月1日にパブリックコメントに付された会社法施行規則及び会社計算規則の改正案をふまえて、株式交付制度の概要及び手続を概説する。
アジア
- 中国:輸出禁止・輸出制限技術リストの改正 2020年8月28日、中国の商務部及び科技部は、中国輸出禁止・輸出制限技術リストを改正し、23種類の新たな輸出制限技術が追加された。また、制限対象となる情報処理技術のパラメーターの改訂によりAI関連技術の輸出が制限された。リストの改正は即日発効しており、技術の移転について留意が必要である。
欧州
- イギリス:ブレクジット後のオンライン販売に係るVAT 2020年7月20日、英国歳入関税庁は、VATに係る新ガイダンスを公表した。本ガイダンスは、2021年1月1日から適用されるものであり、英国の消費者に向けて商品を販売する英国外販売業者等に影響を与えるものである。
- スイス:定款に含まれる仲裁条項の法的根拠の導入 2020年6月、スイス連邦議会は、長く法的論争の対象となっていた会社の定款に定められた仲裁条項に基づく、会社法上の紛争の仲裁のための新たな法的枠組みを承認した。新たな制度は2021年中又は2022年初頭に施行される予定である。
- ロシア:第三者の違法な報酬供与行為によって企業が責任を問われる場合 ロシア最高裁判所は、企業との間で正式な契約、雇用その他の法的関係を有していない第三者による違法な報酬供与行為について、企業が行政手続法第19条28項に基づく責任を負う可能性があることを確認した。
- アラブ首長国連邦:商業代理店法の第4次改正 2020年5月28日、商業代理店に関する1981年連邦法第18号の第4次改正がなされ、初めてUAE国民によって完全所有されていないUAE会社に、商業代理店としての事業活動が許容された。