Corporate & Tax Global Update Vol. 55(2021年2月号)
OECDガイダンスを踏まえた決算前に検討するべきコロナ禍による移転価格への影響、イギリスのEU離脱とGDPRへの影響等の最新情報をお届けします。
主要記事
日本
- 日本:OECDガイダンスを踏まえた決算前に検討するべきコロナ禍による移転価格への影響 2020年12月にOECDは新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に関する移転価格ガイダンスを公表した。本稿では比較可能性を中心に主要ポイントを解説すると共に、実務への適用可能性等を検討する。
- 中国:事業運営におけるコンプライアンス管理を強化する新たな上海不正競争防止規則の施行 2021年1月1日から新たな上海不正競争防止規則が施行され、上海のすべての事業者はその内部統制及びコンプライアンス管理の強化を求められている。本規則は、国家レベルで不正競争防止法が2018年に改正されて以降、初の地方レベルでの規則の改正であり、商業贈収賄の防止及び執行、並びにコンプライアンス・リスクの管理に重大な影響を及ぼす。
- 英国:イギリスのEU離脱とGDPRへの影響 イギリスと欧州連合が2020年12月25日に公表した貿易協力協定に基づき、GDPRは、イギリスがEUを離脱した後も最大6ヶ月間イギリスにおいて適用される。2021年1月1日からは、イギリス及びそのデータ保護機関には、いわゆるone-stop-shop措置は適用されず、EU加盟国からイギリスへのデータ移転を伴う事業がある場合、その中断を避けるためには、今までの措置に代わる適切なデータ移転措置が必要となる可能性がある。
- 英国:ブレクジット後の付加価値税に係る主要な改正論点 2021年1月1日、英国は、ブレクジットに伴い、EUの付加価値税制度を離脱した。本稿では、英国のVATに係る主要な改正論点を中心に解説する。
- フランス:PE認定に関してフランス行政裁判所争訟部が広汎な認定アプローチを採用 フランス行政裁判所争訟部(最高裁)は、PE(Permanent Establishment)認定に関する新たな判決を下し、アイルランド法人がフランスにPEを有するとの判決を行った。同判決が今回PE認定にあたって採用した判断方法は従前とは異なる包括的なアプローチとされている。
- スイス:ESGレポート義務及びデュー・デリジェンス義務の導入 スイスの有権者は、2020年11月29日に開催された国民投票において、EU型のESGレポート義務及びデュー・デリジェンス義務の導入に賛成した。他方、いわゆる「責任ある企業イニシアチブ」の導入については導入が見送られた。