Corporate & Tax Global Update Vol. 68(2022年3月号)
「2022年度予算 ― シンガポールで国内最低税率を含む最低法人税率制度導入の可能性、欧州委員会によるサステナビリティに関するデューディリジェンスについての指令案の公表」等の最新情報をお届けします。
主要記事
アジア
- シンガポール:2022年度予算‐国内最低税率を含む最低法人税率制度(Minimum Effective Tax Rate 以下、「METR」)導入の可能性 シンガポール財務大臣は2022年度予算において、Pillar Two GloBE Rules (国際最低法人税率制度)を受けシンガポールで生じる所得に対して最低法人税率(15%)を課す国内最低税率を含めたMETRを導入する可能性に言及した。
- 香港:内部通報・腐敗防止ポリシーに関する香港証券取引所の上場規則改訂 香港証券取引所は、上場企業におけるガバナンスを強化するため、コーポレートガバナンスコードを含む上場規則の改訂を行った。本改訂は、2022年1月1日付けで大部分が発効しており、上場企業におけるESG分野のガバナンスの重要性、内部通報制度や汚職防止法令の遵守体制の整備を強調するものである。
- 米国:米国における外国税額控除に係る最終規則の公表 米国における外国税額控除に係る最終規則が2022年1月4日に公表された。本稿ではその概略について解説する。
- 米国:SEC、サイバーセキュリティ開示案を公表 米国証券取引委員会(SEC)は、2022年3月9日に上場企業によるサイバーセキュリティに関するリスク管理、戦略、ガバナンス及びインシデント報告に関する開示に関する規則の改正案を提案した。本改正案は、上場企業によるサイバーセキュリティ関連情報の開示を強化、標準化することを目的とするもので、インシデント発生時の報告義務などを定める。
- ドイツ:BSI-KritisVの改訂により、ドイツの外国投資審査の範囲が拡大 連邦情報セキュリティ局法に基づく重要インフラ指定規則(BSI-KritisV)の改正が2022年1月1日に発効し、投資に際して事前の通知及びクリアランスが必要となり得る、重要インフラの運営者又は重要インフラの一部に該当するとされる事業体の範囲が大幅に拡大された。
- 日本:経済産業省によるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドラインの検討開始 経済産業省は、人権デューディリジェンスに関する業種横断的なガイドラインの策定の検討をするための「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン検討会」を設置し、第1回の検討会が2022年3月9日に開催された。
- 米国:インフラ投資・雇用法による水素技術への大規模な支援・資金提供 2021年11月15日に署名されたインフラ投資・雇用法により、クリーンエネルギー由来の水素の研究、開発、実証、展開を加速させる目的で、様々な取組やプログラムが実施されている。本記事ではそうした取組等の主要な内容を説明するとともに、今後の民間投資促進の観点からも解説する。
- 欧州:欧州委員会によるサステナビリティに関するデューディリジェンスについての指令案の公表 欧州委員会(European Commission)は、2022年2月23日、企業によるサステナビリティに関するデューディリジェンスについての指令案(Proposal for a DIRECTIVE OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL on Corporate Sustainability Due Diligence and amending Directive (EU) 2019/1937)を公表した。この指令案に基づくサステナビリティに関するデューディリジェンスについての義務は、EU域内で一定の売上高を有する非EU企業に対しても適用され得ることから、この指令案が採択され、EU加盟国により国内法化された場合には、欧州にて事業を行う日系企業に対して大きな影響を与える可能性がある。
- イタリア:環境ラベル表示義務化に関する法改正及び施行日の延期 イタリアにおいて国内の包装材に環境ラベルの表示を義務付ける法令改正があった。同法令改正の施行時期は当初2021年12月31日とされていたが、その後施行時期を延期する法案が提出され、現時点では2022年12月31日まで延期されることが決定している。