Corporate & Tax Global Update Vol. 108(2025年7月号)
グローバル・ミニマム課税に関するG7声明、欧州議会、EU加盟国全体での外国投資審査プロセスの調和と拡大に関する提案を採択等の最新情報をお届けします。
主要記事
グローバル
- グローバル:グローバル・ミニマム課税に関するG7声明 2025年6月27日、米国のベッセント財務長官は、G7における米国親会社グループを所得合算ルール及び軽課税所得ルールの適用対象から除外する旨の合意に対応して、Section 899の新設の見送りを公表した。本稿は、このG7の合意にかかる声明内容を概説する。
アジア
- ベトナム:ベトナム企業法改正 2025年7月1日にベトナム企業法が改正され、実質的所有者の概念が導入された。ベトナムの企業は実質的所有者のリストを作成し、実質的所有者情報を収集、更新、保管することが求められる。また、オンライン行政手続を行うために、企業のe-IDベトナムアカウントへの登録が義務付けられた。
- ベトナム:ベトナム司法制度の大改革 2025年3月、香港で、外国法人が裁判所の関与なしに香港へ本店を移転できる「本店所在地移転(re-domiciliation)制度」が導入され、各種実務上の手続が整備されるとともに、経過措置や二重課税回避措置等、税務上の取扱いに関する明確化措置も整備されるに至った。
- マレーシア:印紙税コンプライアンス ― 調査強化の新時代 マレーシアでは、2026年から印紙税自己申告制度(STSDS)が導入予定であり、これに伴って印紙税調査の急増、罰則の強化が図られている。そのため、企業はこれまで以上に計画的かつ組織的な印紙税コンプライアンス対応が求められる。
- 香港:第2の柱に基づくグローバル・ミニマム課税制度及び香港における最低税率制度(香港ミニマムトップアップ税:HKMTT)の実施 2025年6月6日香港政府は、OECDの第2の柱の規定に従い、グローバル・ミニマム課税及び香港ミニマム・トップアップ税の国内法制化を行い、改正内国歳入法を施行した。本稿は、本法律の主な特徴と、対象となる多国籍企業グループに対する税務上の影響について解説する。
欧州
- 欧州:欧州議会、EU加盟国全体での外国投資審査プロセスの調和と拡大に関する提案を採択 2025年5月8日、欧州議会は、EU外国直接投資規則(規則(EU)2019/452)の改正に関する修正案を採択した。加盟国による外国直接投資審査制度の導入義務化や、審査範囲の拡大など重要な改正点を含むものである。欧州連合理事会はさらに修正を加えつつ、改正案を支持している。改正規則は立法手続が完了してから1~2年後に発効すると予想される。
- 英国:英国政府、NSIAの義務的届出に係る指定業種を見直す計画の概要を発表 2025年6月23日、英国政府は新たな産業戦略を発表した。産業戦略では、コーポレート・ガバナンスや規制改革に関する他の重要提案に加え、2021年国家安全保障・投資法の義務的届出に係る指定業種の定義につき、英国への外国直接投資を促進するために見直し可能な分野を特定するため、12週間の協議期間を設ける計画が示されている。