Corporate & Tax Global Update Vol. 111(2025年10月号)
フィリピン、投資家リース法の改正について大統領が署名、ルクセンブルク、SC Arcomet Towercranes SRL事件 ― VAT(付加価値税)と移転価格税制の関係における新たな驚き等の最新情報をお届けします。
主要記事
アジア
- フィリピン:投資家リース法の改正について大統領が署名 2025年9月3日、マルコス大統領は投資家リース法を改正する共和国法第12252号に署名した。主な改正点の一つとして、一定の要件のもと、外国人投資家による民間土地の最長借地期間が99年に延長された。
豪州
- オーストラリア:「つながらない権利」 ― 施行から1年、働き方は本当に変わったのか オーストラリアにおける「つながらない権利」を認める法律は、勤務時間外の不合理な業務連絡から労働者を保護する画期的な改革として注目された。しかし、施行から1年が経過した現在、その効果は限定的であるとの評価がなされている。とはいえ、心理的・社会的安全性の確保が企業にとって重大なリスク要因となる現代において、使用者による積極的な法令遵守は、法的観点のみならず企業文化の観点からも引き続き重要であり、今後この権利の活用が進むことが予想される。
米州
- 米国:米国連邦巡回区控訴裁判所がトランプ関税を無効と判断 2025年8月29日、米国連邦巡回区控訴裁判所は、VOS Selections, Inc. 対 Trump事件について、7対4の全員法廷による判決を下し、国際緊急経済権限法は、大統領に広範な無期限の関税を課す権限を付与していないと判示した。
- 米国:FTCが従業員の競業避止義務に関する規則を撤回、競業避止契約を取り締まる個別の執行措置へ移行 連邦取引委員会は、従業員の競業避止義務契約を原則禁止する規則案への異議申立てが争点となった連邦控訴裁判所の事件における控訴を取り下げた。
欧州
- ルクセンブルク:SC Arcomet Towercranes SRL事件 ― VAT(付加価値税)と移転価格税制の関係について CJEUはSC Arcomet Towercranes SRL事件で、移転価格調整がVATの適用対象となる可能性を示した。対象となるかを考えるうえで関連者間契約において役務・対価の明確な記載が重要であることも示している。
