Corporate & Tax Global Update Vol. 107(2025年6月号)
ベトナムの成長を加速するための民間主導による外国投資の促進、米国による報復的課税であるSection 899にかかる最新動向等の最新情報をお届けします。
主要記事
アジア
- ベトナム:成長を加速するための民間主導による外国投資の促進 ベトナムにおいて、民間主導による外国投資の促進を目的とした第68号決議が採択された。同決議は、民間部門をイノベーション、生産性、そして国家発展の主要な推進力として正式に認める画期的な政策であり、ベトナム国内外のビジネスコミュニティに期待をもたらしている。
- 香港:本店所在地移転(いわゆるre-domiciliation)制度の導入 2025年3月、香港で、外国法人が裁判所の関与なしに香港へ本店を移転できる「本店所在地移転(re-domiciliation)制度」が導入され、各種実務上の手続が整備されるとともに、経過措置や二重課税回避措置等、税務上の取扱いに関する明確化措置も整備されるに至った。
米州
- 米国:米国による報復的課税であるSection 899にかかる最新動向 2025年5月22日に米国下院で可決された「One Big Beautiful Bill Act」に含まれるSection 899は、各国の投資家に激震を与えた。ところが、日本時間6月27日(本ニュースレターの発行日)早朝に、Section 899の新設の見送りをベッセント米財務長官が公表した。これにより、日本の投資家への悪影響は避けられる公算が大きいが、今後も注視が必要である。
- 米国:米国食品医薬品局(FDA)が、中国を含む米国外製造施設の無通告査察を強化 2025年5月6日、米国食品医薬品局は、米国の消費者及び患者向けに食品、必須医薬品及びその他の医療製品を製造する外国製造施設に対する無通告査察を強化することを発表した。
欧州
- ドイツ:連邦租税裁判所、並行輸入の移転価格への影響について、重要な税務当局寄りの判決を下す(2024年12月11日の判決より-IR 41/21) 並行輸入の移転価格への影響は、医薬品業界では長い間、税務上の問題であった。連邦租税裁判所は、税務当局に有利な判決を下し、輸入医薬品の親会社/メーカーは、並行輸入の必然的な販売促進に対してドイツ国内販売子会社に報酬を支払うべきであるとした。
中東
- エジプト:新労働法による近代化、強化及び整合 エジプトにおいて、新たな労働法が2025年5月3日に官報で公表され、2025年9月1日より施行される。新労働法は、エジプトにおける労使関係の近代化に向けた重要な前進であり、雇用主と労働者の双方にとってバランスの取れた公平な枠組みを採用している。
ESG/Sustainability
- タイ:タイ・タクソノミーフェーズ IIが始動- 4つの排出集約部門に対象を拡大 2025年5月27日に「タイ・タクソノミーフェーズII」が開始され、タイ・タクソノミーの適用対象として、エネルギー及び運輸に加え、農業、建設・不動産、製造業及び廃棄物管理の4つの部門が追加された。これによりタイのGHG排出量の95%がカバーされることになる。