(本リリースは2020年10月28日、グローバルで発表した英語版の抄訳です)

  • 1月以降の厳しい状況にもかかわらず、2020年度(6月30日まで)のフィー収入は地域全体で2%増
  • 内部成長や外部採用における人材および技術への大規模長期投資
  • 税務、プロジェクト、独占禁止法、医療・ライフサイエンス、テクノロジー・メディア・通信分野は大幅成長
  • グローバルイノベーション部門Reinventの立ち上げ

【グローバル発 2020年10月28日】ベーカーマッケンジーは、2020年度(2019年7月1日から2020年6月30日まで)の年次決算において、全世界のフィー収入が29億米ドルであると発表しました。為替変動の影響を除いた実質ベースでの対前年度増収率は1.2%、米ドルベースでは、期中における不利な為替レートの変動にもかかわらず、横ばい(2019年度は29.2億米ドル)となりました。

全ての地域で為替変動の影響を除いた実質ベースで、アジア太平洋地域が1%、欧州・中東・アフリカ地域が2%、ラテンアメリカ地域が2%、北米地域が1%の成長となりました。米ドルベースでは、4地域中3地域のアジア太平洋地域、欧州・中東・アフリカ地域、および北米地域が若干の伸びを示しました。しかし、ラテンアメリカ地域の収益は米ドルベースで12%減少し、2020年度の同地域における通貨安の影響が浮き彫りとなりました。2021年度第1四半期は、全4地域でフィー収入・利益ともに継続して成長となりました。

2020年度のパートナー1人当たりの収益(PPP)は、新テクノロジー、インフラストラクチャー、外部採用、その他の人材への大規模投資、また為替の影響から、2019年度比12%減となっています。過去10年間でみると、収益が37%、PPPが31%の成長を遂げました。

米国と英国の2大市場で収益を伸ばしました。また、タイ、シンガポール、韓国、オランダ、ベルギー、スウェーデン、ルクセンブルク、ハンガリー、エジプト、カザフスタン、モロッコを含む市場では、1桁台後半または2桁台の成長を遂げています。

ベーカーマッケンジー グローバル・チェアであるMilton Cheng(ミルトン・チェン)は、次の通りと述べました。「1月以来直面してきた経済・物流面での逆風と、2020年度の第4四半期に見た需要の軟化を考えれば、この1年間の尽力と一連の成果を誇りに思います。これは当ファームの総合的な強靭性を示すものです。」

「常に前進あるのみです。コロナ禍で世界の多くの地域で経済活動が落ち込む中、当ファームのクライアント基盤、強靭なチーム、法曹界や地域社会への前向きな投資により、自信を持って2021年度を進んでいます。また、当ファームでは、初のチーフ・サステナビリティ・オフィサーを含む新たなリーダーを任命し、イノベーション部門Reinventを発表しました。」

「過去12か月間における記録的な数の外部人材の採用、人材育成に対する継続的なコミットメント、そしてテクノロジーと新サービスセンターへの多額の投資により、今後10年間に向けた新たなチャレンジに対して十分に備えることができています。」

「またベーカーマッケンジーの強みを最大限に引き出すための革新的な方法で協力・協働・交流する術を学びました。世界中のオフィスのすべてのチームが長期間にわたりリモートワークにてスムーズに仕事ができるようになっています。」

クライアントとの協働に向けた新たな取り組み

ミルトンは、「当ファームは4月に、Resilience, Recovery & Renewal(3R)フレームワークを提言しました。これは、クライアントが直面する各段階における課題、クライアントが外部アドバイザーから何を必要としているかを深く理解し、対応する取り組みとなります。このパンデミックを経て、分野横断的な幅広いテーマを一括する「サービスライン」を通してアドバイスを提供することにより、当ファームの真の価値と、意義を知っていただくことができました。2021年度は、新たな日常に向けて、クライアントにお届けする価値を更に高め、事業の復旧・再構築のためのサービスを引き続き提供していきます。」と続けました。

人材への投資

ベーカーマッケンジーの価値観とフレンドシップ溢れる文化は、ダイバーシティ&インクルージョンの精神を組織のあらゆる部分に取り込みながら人種差別に断固として闘っています。

今年、当ファーム全体で84名がパートナーへ内部で昇進し、68名のパートナーを外部から採用しました。これは、内部昇進と外部採用の両方でトップクラスの人材に投資する継続的なコミットメントの現れです。

過去12か月間で152名の新たなパートナーを迎え入れたことは、長期的な成長戦略をいかに重視しているかを明確に示しています。内部昇進の40%以上が女性であり、昨夏に発表した画期的な「グローバル目標」に向けて前進しています。また、今年7月には、人種や民族の多様性を促進し、法曹界の人種差別を排除するためのプログラムを実施することを目的とした新しいタスクフォースをグローバルおよび北米で立ち上げました。

ミルトンは、「内部の人材を育成し、外部の優れた人材を採用することへの当ファームのコミットメントは、今まで以上に重要となっています。2021年度には、当ファーム全体の健全性や社会的モビリティをさらに促進する主要な人材イニシアチブを計画しています。また、ベーカーマッケンジー所員として2020年以降の功績を称える『People Deal』も立ち上げる予定です。」と述べました。

主要なサービス部門

特に、税務、プロジェクト、独占禁止・競争法、プライベート・エクイティ関連業務が好調でした。ヘルスケア・ライフサイエンス、テクノロジー・メディア・通信、金融機関などの産業部門は、大きく成長しました。

年度の主要実績

ベーカーマッケンジーは、世界の中でも極めて重要な取引・案件においてアドバイスを提供しています。

  • バルセロナ拠点のファッション・フレグランス事業の家族経営企業三代目であるプイグ氏に、英国の代表的な高級メイク&スキンケアブランド、Charlotte Tilburyの過半数株式取得に関するアドバイスを提供。
  • 米国Zynga Inc.が18億米ドルで買収したトルコのモバイルゲーム会社Peakにアドバイスを提供。Peakはトルコ史上最も価値のある企業の一社。
  • イスラエル拠点のTeva Pharmaceutical Industries Limitedの一部子会社による21億米ドルのデュアル・トランシェ型ハイイールド債の発行に関して、14社の初期購入シンジケート団にアドバイスを提供。
  • ボトックスメーカーであるAllerganを630億米ドルで買収したAbbVieにアドバイスを提供。買収や統合直後の税務対策を支援、さらにAllerganとAbbVieの統合に関するリードカウンセルを務める。
  • ウルグアイ・セントラル・レールウェイ建設の資金調達に関して、Grupo Via Central S.A. 合弁会社にアドバイスを提供。本プロジェクトは10億7000万ドルの規模で、ウルグアイに対する民間投資としては最大規模で、同国最大のインフラ・プロジェクト。
  • Sempra Energyの6%の出資を含むペルー企業Luz del Sur S.A.A.を35億9000万米ドルで買収した中国長江電力会社にアドバイスを提供。
  • Empresas Públicas de Medellín(EPM)によるElectricaribe買収交渉を成功裡に導く。本案件はコロンビアにおけるエネルギーセクター年間最大の取引。
  • Afterpayの10億5000万豪ドルの資本調達に関してアドバイスを提供。本案件により同Fintech企業はASX上位20社となる。
  • シンガポールのグローバル・ウェルス・ファンドGICとの合弁事業である日本における10置く米ドルのxScale TMデータ・センター開発・運営に関し、グローバル・インターコネクション・データセンター会社であるEquinix Inc.にアドバイスを提供。
  • 台湾・長華郡の589MW長華東沖風力発電プロジェクトに対する30億米ドルのプロジェクト・ファイナンスに関して、コペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズにアドバイスを提供。

「Reinvent」の立ち上げ

「Reinvent」を立ち上げ、当ファーム全体でグローバルに展開していた様々なイノベーション・イニシアチブを単一部門に集結、統合しました。

  • SparkBeyondの技術を応用した市場初の共同研究となるSparkBeyondとの試験的パートナーシップは、法曹界の先駆けとなり、クライアントへの法務サービスの未来像を可視化することになります。
  • 米国、英国、ドイツ、シンガポールを拠点とするグローバルサービス・デザインチームが、プロジェクトの更なる資源とともにこれらの計画を推進します。
  • トランザクション業務の変化に焦点を当てたトランザクション・イノベーション・グループ。
  • フランクフルトのlawのイノベーション・ハブには、ベーカーマッケンジーだけでなく、Daimler、Bosch、ING、Wolters Kluwer、AF、さらに約30社のリーガル・スタートアップやロースクールが参加しています。
  • 現在、Avoka、Litigate、Imagine、DragonsやStructureFlowなどを含む当ファームのリーガルテック・スタートアッププログラム。
  • 「Reinvent Fellows」プログラムでは、現在5つの業務分野で7つのプロジェクトを11のフェローが実行しています。

大多数のクライアント企業と同様に、今回のパンデミックは当ファームのデジタルトランスフォーメーションを加速させ、バーチャルコミュニケーションや遠隔クライアントサービスを可能にするテクノロジーの利用を大幅に促進しました。当ファームは、一連の自動化・デジタル化プロジェクトなど、近年、テクノロジーに多大な投資を行ってきました。

ミルトンは、「クライアントの一助となる新たな方法の開発から、シェアード・サービス、テクノロジー、ナレッジ・マネジメントなどへの更なる投資まで、幅広く、クライアント、所員、インフラに対し長期的視野で将来に渡ってコミットメントし続ける所存です。」と述べました。

ブランド力と評価

多くの有力な組織が、ベーカーマッケンジーのイノベーションとリーダーシップを2020年度に認めました。

  • Refinitiv / Thomson Reutersによる過去14年間にわたるクロスボーダー案件において、第1位にランク。当ファームの63%以上がクロスボーダー案件。
  • Refinitivによる過去16年間にわたる新興市場関連の案件(発表件数と完了事例)で、第1位にランク。
  • Law360による年次調査で世界有数の法律事務所に選出。
  • Acritas社が実施する国際法律事務所のブランドランキングで10年連続首位に選出。
  • Working Mother誌、Law360、およびEuromoneyにより、女性にとって最も働きやすい法律事務所の1つとして選出。
  • Stonewallによる「Top Global Employers 2020」、「Highly Commended LGBT+ Network Group」に選出。
  • Chambers Globalのグローバルガイド2020年版において、他の法律事務所を上回る多くの項目で高く評価。

今後の展望

ミルトンは、「ベーカーマッケンジーの強固な財務力、真にグローバルなプラットフォーム、広い業務分野、フレンドシップ文化、実行力、そして世界中のクライアントベースは、この下降局面においても盤石な地位を揺るがしません。責任ある雇用者であると同時に、多くの危機を未然に乗り越える経験もあり、常に長期的かつグローバルな視野を持っています。当ファームは回復力に優れ、機会を捉え前進できると確信しています。」と結びました。

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