(本リリースは2019年10月14日、グローバルで発表したリリースの抄訳です)

Oxford Economicsとの共同調査:

不透明な世界経済を背景に、2020年のM&Aは25%下落する見通し

  • 北米は引き続き比較的良好
  • IPOは20%以上総額が下落
  • 世界経済の回復に伴い、取引活動は2021年に再び活発化する見通し

【グローバル発  2019年10月14日】 ベーカーマッケンジーは、Oxford Economicsと毎年共同で実施している全世界における企業のM&A/IPO活動に関する調査の結果を発表しました。報告書によれば、不透明な世界経済および景気後退リスクを背景に、全世界における企業のM&A/IPO活動は2020年も引き続き低調にとどまる見通しです。また、北米でのディール・フローは、テクノロジー、投資家アクティビズム、プライベート・エクイティが来年、取引活動を牽引する中心となり、世界のトレンドと相反し伸びる見込みです。

Oxford Economicsと共同で制作した「Global Transactions Forecast(第5版)」においては、2020年の全世界におけるM&Aのディール総額は2兆1,000億ドルと、2019年の2兆8,000億ドルから減少すると予測しています。また、IPOによる調達総額も2019年の2020年の1,520億ドルから1,160億ドルへと23%下落する見通しです。

世界的に取引活動が減速する中、活動を牽引する可能性のある主な3つの材料は以下となります:

  • テクノロジー・ディスラプション: 全セクターにおいて、企業は競争力を維持するために、自社では複製できない高度なデジタル能力を取得する傾向となる。
  • アクティビスト・ファンドとステークホルダー資本主義(株主利益だけを考える資本主義): アクティビスト投資家とステークホルダー資本主義の傾向が強まれば、取締役会は構造を再構築し、それに応じた戦略の変更をしなければならなくなる。
  •  プライベート・エクイティ ドライパウダー(待機資金): プライベート・エクイティ投資家は、相場の変動により創出される機会をとらえ、取引量を流通し続ける可能性がある。

ベーカーマッケンジーのグローバル・トランザクション・グループチェアであるアイアイ・ウォン(Ai Ai Wong)は、「数々の取引が成立していることは確かですが、通商や規制に関する不確実性が続くことから現在の景気減速は避けられません。世界中の多くの投資家や企業が、国内やクロスボーダー取引を進展させたいと待ち望んでいることを私たちは認識しています」と述べました。

アジア太平洋地域

アジア太平洋地域においてはクロスボーダー取引が特に大幅に減速したため、2018年の高取引から下落する見込みです。米中貿易紛争による影響は明白であり、中国政府が民間企業の対外投資に対する規制を強化したことにより、中国のアウトバウンド取引が低迷しました。例外として日本においては複合企業がノンコア資産を売却し、企業がアウトバウンドM&Aの機会を模索していることから、取引が増加傾向にあります。また、インドネシア、タイ、ベトナムではインバウンドM&Aが活発になっています。

今後、同地域のM&A活動は、2019年の6,340億ドルから2020年には5,290億ドルへと18%減少、またIPO活動は今年以降、鈍化傾向が続く見込みで、2018年から43%減少し、360億ドルに達すると予測されています。

シンガポールは、国内で2件の大型公募案件があったことから、2018年の5億ドルから24億ドルに増加ました。さらに、2019年に、中国における中国テクノロジー株を扱う新市場として、上海証券取引所にSTARが開設されました。堅調なスタートを切りましたが、市場の減速の影響を受けて下落しました。