エナジートランジション

気候変動問題への対応は今や人類共通の課題となっており、日本を含め世界各国において2050年のカーボンニュートラル実現への取組が急速に進められています。この分野は、戦略上、経営上、風評上の緊急課題は大きい一方、成長余地が大きいのも確かです。

ベーカーマッケンジーは、再生可能エネルギー並びに水素及びCCS等のクリーンテクノロジー分野において、市場をリードする案件に携わってきています。ベーカーマッケンジーの多分野にわたるグローバルチームは、複雑化する規制環境の中で、エネルギー生産者、投資家、利用者に対してエナジートランジションへの取組を支援し、パワフルに生まれ変わる一翼を担っています。

How We Can Help

キャピタル・マーケット

当事務所のキャピタル・マーケットグループは、日本の資本市場における先駆者的存在として、証券発行に関わる様々な案件において、国内外の政府系及び民間企業にアドバイスを提供しています。

国内外のキャピタル・マーケットにおける有価証券の募集・売出しに関する助言、現地規制やグローバル・スタンダードに則った金融商品の開発支援、新規株式上場(IPO)や非上場公募の際のドキュメンテーション、債券・投資信託・REIT(不動産投資信託)の募集・売出しに関する助言、投資信託及びファンドの設立、国際的な公開買付け等に係る法律業務を手がけています。海外上場を始めとするクロスボーダー案件や海外証券取引規制に関しては、ベーカーマッケンジーのグローバル・ネットワークを活用することにより、現地オフィスとの緊密な連携を図りつつ、シームレスで円滑なサービスを提供しています。

炭素の回収・貯留(CCS)

CCS技術は、低炭素経済への移行期において、企業や政府が温室効果ガス排出を削減するために役立つ方法となります。しかし、政策立案者、立法者やプロジェクト推進者にとって、CCSの費用対効果、技術開発のインセンティブ、国境を越えた二酸化炭素輸送の規制、そして炭素貯留の財産権の確立などは未だ悩みの種となっています。

当事務所は、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーをはじめとする国や州政府に対し、CCSの法整備や政策立案、技術やプロジェクトに関する法的アドバイスを提供し、クライアントがこれらの課題を克服できるようサポートしています。当事務所はこれらのプロジェクトを通じて、アジア開発銀行、英国外務英連邦省、国連環境プログラム、EU、世界銀行などの資金提供者との関係を築いており、専門性の高い市場において比類ない法的アドバイスを提供し、確固たる地位を築いています。

水素

水素は、カーボンニュートラルの達成に向けて不可欠なものとして世界で注目を集めています。日本政府は、2017年に世界で初めて水素基本戦略を策定し、水素社会の実現に向けて様々な支援制度等を準備しています。水素は、自動車やトラックなどの運輸、水素を燃料とした発電、水素還元製鉄など、その用途は多岐に渡り、今後急速な拡大が見込まれる分野となります。

当事務所は、水素の重要性に一早く着目し、グローバルで水素のワーキング・グループを立ち上げ世界各国における水素の制度・政策やノウハウを共有してきました。また、水素の先進的な事業に対してアドバイスを提供するなど、水素分野の今後の発展に貢献してきました。

M&A

コーポレート/M&Aグループでは、上場企業、非上場企業を問わず、あらゆる業種における国内企業間の買収、合弁、資本提携、事業再編、事業分割等関連取引(合併、株式買付、事業譲渡、株式交換・株式移転、会社分割等あらゆる形態を含む)はもとより、ベーカーマッケンジーに属する世界各国オフィスとの緊密な連携のもと、日本企業による、クロスボーダーM&Aあるいはその他の方法での海外進出やグループ再編に関して、企業が直面する様々な問題解決を支援しています。さらに、外国企業による国内投資のサポートについても豊富な実績を有しています。

日本企業、外国企業、多国籍企業を問わず、また事業法人、金融機関、プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル等多様な企業に対し、企業取引やM&A取引に関わる会社法、証券取引法、独占禁止法、知的財産権法、業法規制、雇用法、投資規制法、通商法、環境法、税法、その他の法分野の法令調査をはじめ、デューデリジェンスの実施、最適な投資ストラクチャーの検証、日英両言語での書類作成及び交渉の支援、投資完了後の統合及びコンプライアンスの取り組み支援など、あらゆる分野の専門家が協働し、総合的なアドバイスをワンストップで提供しています。

プロジェクト

東京事務所のプロジェクトグループは、ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業)の15のプラクティス・グループのひとつとして、10名以上のメンバーから成るチームにより、コンプライアンスを含めて、エネルギー・鉱業・インフラストラクチャ(EMI)に関わる取引事案や紛争問題に取り組んでいます。当事務所には、約110名の日本法弁護士及び60名以上の外国法弁護士、並びに税理士、弁理士から成る170名以上の専門家が所属しています。

東京事務所のプロジェクトグループは、アメリカ合衆国、イングランド及びウェールズ、オーストラリア、ニュージーランド、香港、日本の法曹資格を有する弁護士で構成されています。EMIグループに所属する弁護士の多くはバイリンガルで、使用言語には、日本語、英語、スペイン語、ヒンディー語、グジャラート語、北京語、広東語及びタイ語が含まれます。

これまでプロジェクトグループは、日系企業、及び外国のコントラクターやコンサルタントを代理し、投資案件を始めとして国内外における様々な取引に関与してきました。
主なクライアントは、公益事業会社、商社、資源・鉱業会社、コントラクター、コンサルタント、金融機関、再生可能エネルギー開発事業者、及び電力小売企業などです。

再生可能エネルギー及びクリーンテクノロジー

再生可能エネルギー及びクリーンエネルギーへの関心がかつてないほど高まっています。日本政府は、日本の全電源構成に占める再生可能エネルギーの割合(エネルギーミックス)について、2019年度における18%から2030年度には36-38%まで引き上げるとの目標を掲げています。今後は、洋上風力や蓄電池など、再生可能エネルギー及びクリーンエネルギーのさらなる拡大が期待されています。またその一方で、海外における再生可能エネルギープロジェクトへの投資機会の拡大も、日本の企業や投資家の強い関心を集めています。

このような状況下、新規市場に参入し、リスクを適切に管理しながら首尾よく成果を収めるためには、経験豊富で洞察力に優れたリーガルアドバイザーの選択が非常に重要となります。ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業)は、これまで数多くの再生可能エネルギープロジェクトにおいて、コンソーシアム、スポンサー、建設企業、投資家及び金融機関等を代理してまいりました。また、世界74都市に展開するベーカーマッケンジーのメンバーファームとの緊密な連携のもと、日本法及び外国法双方の知識を活かし、日本企業による海外の再生可能エネルギープロジェクトへの投資を強力に支援しています。

東京事務所の「再生可能エネルギーグループ」は、「ファイナンス&プロジェクトグループ」に所属するメンバーによって構成されています。また再生可能エネルギー案件への対応には税務アドバイスが不可欠であり、東京事務所の「税務・移転価格グループ」とも協力してアドバイスを提供しています。法的分野をまたぐ幅広い知識を共有し、当該業務に豊富な経験を有する当グループが、国内案件はもとより、国外のプロジェクトに投資する日本企業や日本市場に関心を寄せる海外企業を積極的に支援します。

サステナビリティ

先駆的な取組

私たちは、20年以上前に世界初の気候変動に関するプラクティスを立ち上げ、それ以来、革新的な取組を続けています。また、世界経済フォーラム、国連グローバル・コンパクト、持続可能な発展のための世界経済人会議などの機関と協力し、将来の議題や政策の形成に取り組んでいます。

価値創造思考

主要なマーケットや産業分野の全てにおいて取引、アドバイザリー、係争案件に関する専門知識を有することにより、お客様のニーズにマッチしたサステナビリティに関するトップダウンの視点を提供することが出来ます。私たちは、グローバルとローカルな視点から、戦略に関する大局的な問題や具体的な法的リスクについて、日々取り組んでいます。

価値観

私たち自身もサステナビリティの実現に向けた取組の途上にあり、それは皆様と経験や課題を共有し、どのような課程でも共に取り組めることを意味します。私たちはサステナビリティを戦略の中核に置き、インクルージョン&ダイバーシティ、環境パフォーマンス、SDGsとの整合性などの面で法曹界をリードする中、それに満足することなく、さらなる高みを目指し、常に挑戦を続けています。

金融機関及びサステナブルファイナンスに向けたサステナビリティ

金融機関は、脱炭素社会への移行において欠かせない存在です。資本配分の観点から、社会全般において環境・社会・ガバナンス(ESG)のより良い成果を引き出す役割を担う可能性があります。サステナビリティは、気候変動に伴うプルデンシャル・レジリエンス(健全性)から、金融機関の経営方法、適切なコーポレート・ガバナンス、適切に設計された方針と手続き、コンプライアンスに準拠した報告と情報開示の要件まで、金融機関のあらゆる事業と関連しています。

サステナビリティへの取組は、今般、顧客へ提供するサービスを始め金融市場全般で優先事項となっています。企業がESGを長期戦略に組み入れるというニーズが高まりを見せ、グローバル資本市場が急速に発展したのと同時に、10年以上前から、サステナブル投資市場は加速度的に成長しています。グローバル・ファンドやプライベート・エクイティは、ESGへの取組について契約前の開示を行う一方で、投資戦略をサステナビリティの分類や目標に関連付ける傾向が強まっており、貸し手は、借り手が炭素排出量ネットゼロに近づけるよう信頼のおける移行計画を立案しています。

その際、例えばグリーンウォッシング疑惑をめぐる訴訟や強制執行は、金融機関が直面する主要なリスクとなります。そのため、これらのリスクを軽減・管理する方法と、紛争を満足のいく形で終結させ、ブランドと評判を守るための戦略を立てることは不可欠です。ESGの取組をサポートするハイレベルなトランザクション、アドバイザリー及び紛争に関するリーガルサービスの必要性は、かつてないほど高まりを見せています。